編集グループ〈SURE〉

鶴見俊輔
日本人は状況から何をまなぶか

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3・11から一年──
今年九〇歳をむかえる哲学者・鶴見俊輔、
ひさびさの自選文集を刊行します。
ちいさな一冊の、
大きな広がり

2012年2月下旬刊行
九〇歳に近く、私は終りに向かっている。まだ、自分の文章を読むことができるので、後期文集を編むことにした。……おそらくこれが自選の最後にあたる一冊。

──著者あとがきより

2012年2月下旬刊行

定価2,200円(本体2,000円+税)

四六判・並製、192ページ
発行・発売 編集グループSURE

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刊行のごあいさつ

 昨年3月11日、東日本で起きた大震災は、私たちの暮らしに衝撃と多くの試練をもたらしました。

巨大地震と津波の自然災害に加えて、東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射能汚染は、これから、未来の世代にわって、大きな災禍を残すことになりそうです。

 私たちが享受し、消費したエネルギーによって生みだされた、おびただしい核のゴミ。半永久的に続くことになる、その危険だけを、子どもたち、さらに、まだ生まれてさえいない未来の子孫たちへと、押しつけたままにして、これでよいのか?

「経済活動」の吊のもとに、事故の収拾策さえ確立されていない原子炉を外国に売りつけることを、見過ごしたままにして、よいのだろうか?

 たとえば、ここにある「倫理」の問題を、私たちはそれぞれどのように考えていくことができるでしょうか。

 鶴見さんは、長い自問を通して、書いておられます。

「絶滅への長い道のりをたどる人類が、その途上でおたがいに助けあい、そのときなりの幸福を実現するのにはどのようにしたらよいか。そして最後にどのようにして人類の消滅をむかえることができるか。それを考えることが倫理学の課題である。」

「未来について、ふたしかながら目標をたて、考えをめぐらし、もう一方では、現在の私個人の状況から考えてゆく、どちらかと言えばあとのほうに重点をおきたい。それが私の倫理上の考え方である。」

 そして、また──。

「小さな地域に生きている、消費者の自由の行使は、日本国の再建にはすぐには役にたたない。しかし、手おくれというのなら、すでに手おくれなのだ。おくれて、わずかのものをそだててゆく余地があることを喜び、その余地をひろげることに手をかしたい。」(「倫理への道」)

 鶴見さんは、今年90歳。

 でも、いまだ、確かな道筋というものは、なさそうです。

 「アイデンティティーは、自己同一性を手ばなすなという動機にはじまって、民族の同一性、国民の同一性、国家の同一性に、ずらされていく。」(「国民というかたまりに埋めこまれて」)

 人は、生きていく上で、それぞれの思想、哲学を必要とするが、そのことが、またおのずと「国民」「国家」というものに結びついてしまったりもする。そのことへの鶴見さんの疑い、異議申し立て、そして自問は続きます。

 「相手に暴力を加えるとき、相手はひとつのアイデンティティー(自我)に見える。しかし、相手は、今は一個の化身として見えるとしても、果たして一個のものなのか。相手もまた、自分とおなじく複数のアイデンティティーをもつものではないか。」(「複数の自我」)

 こうした思考の、ここに至る道のりが、この小さな一冊には、ぎっしりと詰まっています。

2012年立春
編集グループSURE (代表・北沢街子)

この本に関する記事

サンデー毎日・サンデーらいぶらりぃ(2012年3月)

毎日新聞・毎日の本棚(2012年3月)

西日本新聞・コラム(2012年4月)

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