編集グループ〈SURE〉

塩沢由典
今よりマシな日本社会をどう作れるか
──経済学者の視野から──

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この経済学者に講義してもらおう!

……どのような知的影響とも無縁であるとみずから信じている実際家たちも、過去のある経済学者の奴隷であるのが普通である。権力の座にあって天声を聞くと称する狂人たちも、数年前のある三文学者から彼らの気違いじみた考えを引き出しているのである。……(ケインズ『雇用・利子および貨幣の一般理論』)

経済の場合は、その思想の一番基本のかたちを作るのは経済理論。それで、経済理論についてのいろんな対立は、見方のちがいでもあるし、結論のちがいにもつながっている。

つまり、経済学の理論の枠組みがどうあるべきかということは、まちがった経済政策によって大きな被害をこうむらないためにも、ふつうの人にも無関係ではあり得ないことだ、という話です。

円安だと、何がいいの? クルマは売れるかも。

でも、輸入にたよる食料は、そのぶん値上がりするのでは?

株を持っていなくても、株価が上がれば、喜ぶべきなのか?

金融緩和、財政出動、成長戦略

──アベノミクスの「三本の矢」は、貯金なしの私たちの暮らしの向上にも的中するの?

TPPって、大変なことになる?

2013年6月下旬刊行

定価2,090円(本体1,900円+税)

四六判・並製、160ページ
発行・発売 編集グループSURE

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刊行のごあいさつ

第2次安倊内閣発足から半年。世の中は円安、株価上昇に沸いている! と、テレビ、新聞が伝えています。内閣支持率も上々、TPP交渉参加でさらなる経済成長へ! ──そのように、メディアの期待は高まっているようです。

にわかな景気回復ムード。だけど、なんとなく財布のひもは緩んでも、中身のお金がないのが、私たちの現実では?

東日本大震災、福島第1原発事故への対応の話題は少しずつ退いて、いまや政界、ジャーナリズムの関心も、TPP、アベノミクスにすっかり取って代わられた印象です。けれど、それらの報道を見るにつけ、「世論」と自分の意見や生活感覚がずれているのを感じずにはいられません。

原子力発電所の事故は、これまでほとんど無意識に電気を享受していた私たちに、反省とライフスタイルの転換を迫るものでした。しかし、この潮流を押さえつけにかかってくるのが、「経済」という威圧的にも響く言葉のように思えます。

とはいえ、そもそも「経済」って、人びとの生活と対立するものなのでしょうか?

経済政策によって被害をこうむらないためにも、私たちは無関心であってはならないと、塩沢由典さんは話します。アベノミクスの「三本の矢」を題材に、経済学と経済政策の関係の解説から始まって、よりよい社会を作るための方策へと、塩沢さんの講義は展開されていきます。

また、第2章では、環境社会評論家・中尾ハジメ、法哲学者・那須耕介、作家・黒川創といった顔ぶれも討議に加わり、そこでの話題が深められます。そうした道のりを経て、塩沢さんが提示する選択肢は?

塩沢由典『今よりマシな日本社会をどう作れるか』は、6月下旬刊行の予定です。ゆかりの読者のみなさまに、予約申し込みによるご支援のお願いを申し上げます。

お申し込みをいただいた方には、本が出来上がり次第、最優先で、責任をもって郵送にてお届けいたします。

2013年 皐月
編集グループSURE(代表・北沢街子)

本書の内容

  • 著者まえがき
  • 第1章 講義「経済学は経済状況にどう関係しているのか
    • はじめに/アベノミクスは何ができるか?/インフレ・ターゲットは機能するのか?/それでも公共事業を増やすのか?/規制緩和が成長戦略でいいのか?/日本経済の現状をどう見るか?/政府は、景気に責任を担うべきなのか?/長期停滞の原因は?/消費需要は、どうして低迷しているのか?/社会保障の手厚さが経済成長を助ける/経験を楽しむためには時間が必要だ/物がありすぎて倒れない家/「貿易立国」の問題点/世界全体の視野から/金余り経済はこうして起こる/サブプライムローン、CDSとは?/輸出にたよらず、経済は成長させられるか?/「サービス革命」を提唱する/サービスとしての医療、介護/保育の充実、教育の高度化/「国民負担率」を考える/「利子」にとらわれすぎると現実が見えなくなる
  • 第2章 質問に応えながら
    • 変わるチャンスは出てくるはず/福祉国家型の税制は、どのように始まったか?/どうして賃金を上げないのか?/もっと記者たちの経済学の向上を/道州制でいろいろ試してみてもいい/為替レートから離れたところで/「国家」と「組合」のあいだ/「一財モデル」の罠/TPPは誰に良いことをもたらすか?/経済って、お金なの?/「儲けた」話だけが残る世界/「けしからん」、という紋切り型/広域瓦礫処理に経済学はない/数値化できない経済学の領域について/「アベノミックス」の後には?/ベンチャー・ビジネスの可能性

この本に関する記事

毎日新聞 読書日記 (2013/8/13)

東京新聞 (2013/9/10)

著者について

塩沢由典(しおざわ・よしのり)

1943年、長野県生まれ。経済学者。京都大学大学院理学研究科(数学解析学専攻)修士課程修了、のちに複雑系経済学を提唱。大阪市立大学経済学部教授などを経て、現在、中央大学商学部教授。京都ベ平連、脱走米兵援助活動などにも参加した。

著書は、『近代経済学の反省』(日本経済新聞社)、『市場の秩序学 反均衡から複雑系へ』(筑摩書房)、『マルクスの遺産 アルチュセールから複雑系まで』(藤原書店)、『関西経済論』(晃洋書房)など多数。

編集グループSURE刊の丸山眞男『自由について──七つの問答』、『北沢恒彦とは何者だったか?』などでも発言している。


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