中尾ハジメ・加藤典洋
なぜ「原子力の時代」に終止符を打てないか
原発に反対する者どうしが、どのようにつながっていけるのか?
反原発運動、その過去の反省、現在の課題、未来の目標は、どうなるか?
代替エネルギーへの工程表は誰が作るのか?
原子力帝国の全貌とは?
海外の原子力事情と、日本の原発の現状をどうとらえられるのか?
反原発科学者たちの、力の結集はどういう形をとりうるのか?
なぜ脱原発の主張は日本の産業界で支持を拡大できないか?
ドイツの代替エネルギーの実践に、何を学ぶことができるのか?
これまでの成長と、新しい考え方に立つもう一つの「自由」と「幸福」。いずれを取るか、ということだけでなく、二者択一の形を変えることが必要ではないか?
2014年04月下旬刊行
定価1,834円(本体1,667円+税)
四六判・並製、192ページ
イラスト・装幀 北沢街子
発行・発売 編集グループSURE
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刊行のごあいさつ
福島第1原子力発電所の大事故から、3年がたちました。
私たち、日本社会の住民は、いま誰もが多かれ少なかれ、不思議な感慨を抱いているのではないでしょうか?
「あの事故」がなければ、そのまま続いていたはずの暮らしの時間、それは、もうここにはありません。
事故現場の原子炉からは、いまも日々、大量の汚染水が漏れつづけています。十数万人の被災者が、現在もなお避難生活を余儀なくされています。そして、現地では、おおぜいの労働者が、被曝の危険に身をさらしながら、“収束作業”を続けています。子どもたちをはじめ、これからの健康被害も、予断を許しません。
冷静に判断するなら、原子力事故という事態の性質上、この事故はまだ途上の段階であって、被害の全貌は、これから未来にわたる長い時間をかけて、徐々に明らかになっていくものだということを認めるほかなさそうです。
とはいえ、私たちの「心」や「暮らし」は、なかなか、その現実を真正面からとらえつづけることにも耐えられません。毎日の日常生活は忙しく、その上、ニュースや新聞を見るたびに腹が立ったり、気持ちを奪われてしまうことは、ほかにいっぱいあります。
福島の原発事故が大問題なのはわかっているのに、それを注視しつづけるのは難しい、という現実をも、私たちは生きています。
こうした現実全体に、私たちは、どのように向きあっていくべきなのか?
今回、本書では、福島の原発事故をめぐっても著書がある、文芸評論家・加藤典洋さんに聞き手に回ってもらって、原子力問題を追いつづける環境社会評論家・中尾ハジメさんに、さまざまな疑問をぶつけてもらいました。ここから生じた問答に、福島原発事故から3年、私たちの「不思議な感慨」も、そのまま映っていると思えます。
2014年 卯月
編集グループSURE(代表・北沢街子)
本書の目次
- 第1章 責任、信頼、健康が失われていく
- 責任が問いきれない
- 伊方原発訴訟と、科学者たち
- ゴフマンと山下俊一と
- 三度の原子力事故を経験して
- 再度、SPEEDIについて
- 破壊から汚染へ──核兵器は二度使われる
- 第2章 覚めないバラ色の夢を生きさせられて
- 脱原発が支持されながら
- 新しい貧乏とエネルギー
- 被災者の選択肢、ライフスタイルからの選択肢
- 原子力帝国の属国に生きながら
- 核の管理は、どう考えられたか
- 核分裂は、すべての生命の危険をもたらす
- 原爆の誕生は、革命の終わりを意味するのか?
- バラ色のディストピア
- 被害の場所からのあたらしい表現
- 甲状腺に嚢胞あり=「A2」所見
- 人間の体験を記録すること
- 原子力の時代に生きる──あとがきにかえて 中尾ハジメ
著者について
中尾ハジメ
1945年、東京生まれ。環境社会評論家。著書に『スリーマイル島』(野草社)、『原子力の腹の中で』、『電気じかけの俺たち──原子力の腹の中で2』(ともに編集グループSURE)。訳書にL・オルソン『アンビヴァレント・モダーンズ』(共訳、新宿書房)、W・ライヒ『性と文化の革命』(勁草書房)ほか。
加藤典洋
1948年、山形生まれ。文芸評論家。近著に『耳をふさいで、歌を聴く』(アルテスパブリッシング)、『村上春樹の短編を英語で読む1979〜2011』(講談社)、『小さな天体__全サバティカル日記』(新潮社)、『3.11死に神に突き飛ばされる』、『ふたつの講演 戦後思想の射程について』(ともに岩波書店)ほか。
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