秋原勝二
夜の話──百歳の作家、満洲日本語文学を書きついで──

七歳で渡った満洲と、日本本土の間でゆれうごく、望郷の念と、土地への愛着。
戦後引き揚げてからの日本での暮らし。抱え続けた「満洲」と、自分にとっての「故郷」。
八〇年紡ぎ続けた作品集。
秋原勝二
「一番胸に灼きついたのは土着民の生活でした。自分らが今迄軽視し勝ちだったこの土地は、誰よりも彼らによって愛されているのに今更気づいたのでした。僕は愛していた筈の故郷に失望して帰った。その男が、ともかく今生きている土地は、もう既に彼ら異民族によって愛されていたのです。」(表題作「夜の話」より)
2012年10月中旬刊行
定価2,860円(本体2,600円+税)
四六判・上製、およそ320ページ
発行・発売 編集グループSURE
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刊行のごあいさつ
秋原勝二さんは、1913(大正2)年、福島生まれ。来年で満100歳を迎えます。現在も旺盛な創作活動のかたわら、創刊80周年の文芸同人誌「作文」の編集、刊行を続けておられます。
これまで充分に紹介されてこなかったこの作家の生涯を見わたせる、代表作9作品と、インタヴューからなる、集大成の作品集をお届けいたします。この作家を支えてきた、創作への情熱が隅々に充ちています。
両親を失い、16歳の兄とともに7歳で渡った満洲と、故郷・日本本土の間でゆれうごく、望郷の念。満18歳で書き上げた実質上のデビュー作「孝行者」(1932)に始まって、故郷をめぐって錯綜する思いを描いた問題作「夜の話」(1937)、終戦直後の混乱する満洲を活写する「李という無頼漢」(1965)、そして、著者の96歳の力作「飯田橋の夜半」(2009)まで。「故郷喪失」という主題を軸に80年余り書き続けてきた、秋原勝二の代表作を選びぬいた作品集です。日本人にとっての「満洲」のみならず、この世紀の世界を生きる意味、そして、秋原さんの人生をいろどる風景の数々が浮かびあがってきます。
巻末には、作者の素顔にせまるインタヴュー「創作と、同人誌『作文』との80年」と、黒川創による解説を収録。
お申し込みをいただいた方には、わたくしどもより責任をもって郵送にてお届けいたします。
2012年 初秋
編集グループSURE (代表・北沢街子)
本書の目次
- 孝行者 1932
- 身の上話 1933
- 夜の話 1937
- 河や山 1941
- 帽子 1945
- 李という無頼漢 1965
- 冬の泉 1966
- 母親ヨシ 2009
- 飯田橋の夜半 2009
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- インタヴュー 創作と、同人誌「作文」との80年
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- 解説 黒川創
- 略年譜、秋原勝二に関する満洲地図
この本に関する記事
産経新聞『夜の話 百歳の作家、満洲日本語文学を書きついで』秋原勝二著
サンデーらいぶらりぃ:池内 紀・評『満洲浪漫 長谷川濬が見た夢』『夜の話』
著者について
秋原勝二(あきはら・かつじ)
1913(大正2)年、福島市生まれ。2歳で父、7歳で母を亡くす。
1920年10月ごろ、長兄とともに満洲(現中国東北)に渡る。1926年、大連の満鉄育成学校に入学。1930年、満鉄本社経理部に入社。1932年、大連で創刊された文芸同人誌「作文」の同人に加わる。1933年、徴兵検査のために、7歳で満洲へ渡って以来、はじめて内地(日本の本土)の福島に戻り、故国の貧しさを目の当たりにしてショックを受けるとともに、「故郷喪失」の思いを深くする。1939年、結婚、吉林鉄道局経理部に転任。
日本敗戦を経て、1946年、9月、日本本土へ引揚げ。福島での療養、岩手県での林業勤務を経て、上京。
1964年8月、戦時下の満洲時代から休刊状態にあった「作文」の復刊に参加。
2010年5月、「作文」第200集を刊行。現在も「作文」を中心に、多くの小説や評論を発表している。
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